濱口代表は「他の診療科目において、ただオンラインで薬を売るだけのサービスなら、当社が展開する意義は薄い」と言う。
あくまで、今後も自社ならではの価値が発揮できる領域で勝負する考えだ。
医師の採用通過率は1割
システム開発からマーケティング、プラットフォームの提供、カスタマーサポート(解約以外)を一貫して担う同社は、提携病院における医師の採用・教育の基準も定め、サポートしているという。
採用基準として、医療技術の専門性のだけでなく、オンライン診療において不可欠な、画面越しでのコミュニケーション能力を厳格に評価し、採用通過率を約1割に絞っているという。採用後も、厚生労働省が定めるオンライン診療研修の受講を必須としている。さらに利用者のフィードバックや診療実績を詳細に数値化し、定期的に医師へのフィードバックを促している。
「初診・再診ともに受診料を無料にしている。質の高い診察で納得感を持って治療や服薬を始めてほしいという思いがある。納得感なくして、服薬を継続するのは難しい」(濱口代表)と話した。
分包で継続率向上
2024年ごろから、薬を1回分単位で分包して提供している。分包した薬を受け取っているユーザーは、そうでないユーザーと比較して継続率が高いという。
ただ、一般的なクリニックが単体で分包するのは簡単ではない。分包専用の機械と、正確に在庫を管理するシステムが必要不可欠だからだ。同社は提携クリニックに機械を導入させるだけでなく、自社のエンジニアが直接入り込み、システムの構築など支援を行っている。
「複数種類の薬を、それぞれのシートから毎日〝プチプチ〟と出す作業はユーザーにとって大きな手間となる。同じ色の薬が複数ある場合は、出している途中でわからなくなってしまうなど、リアルな課題がある」(同)と話す。

▲1回分の分包が継続率向上に寄与している
分包は日々の出社や旅行など持ち運びにも便利で、飲み忘れを防ぐ。顧客体験に直接結びつく機能を外部任せにせず、内部で一貫して支援することも強みとなっている。
女性キャラが服薬を伴走
CRM施策の一環として、「森山マイコ」という女性キャラクターを用いて、ユーザーの服薬を伴走している。「森山マイコ」は29歳女性という設定だが、固定のキャラクターデザイン(ビジュアル)があるわけではない。LINEやメルマガの差出人として登場し、ユーザーのコミュニケーション役として存在している。
人とのつながりを感じてもらい、服薬を継続するモチベーションを保たせる狙いがあるという。
「森山マイコ」はAIが普及する前から導入していた。最近では「森山マイコだったら何と答えるだろうか」という視点で、ユーザーへの発信を考えることもあるという。社内の共通言語のようになっているそうだ。
情報開示で信頼獲得
LATRICOの濱口代表は、「不十分なオンライン診療を行うサービスが増加し、業界のイメージが悪くなることを懸念してる」と話した。同社は取り扱う医薬品の種類を詳細に公開することはもちろん、社員インタビューなどのコンテンツも発信し、クリーンな姿勢を示しているという。
さらに、売り上げや効率ばかり重要視せず、医師がリスクがあると判断した場合には「処方しない」という選択もとれる組織体制に努めているという。
