消費税の時限的減税措置を巡り、通信販売業界では、記載価格の変更に伴う印刷物の廃棄や差し替えといった「隠れコスト」の発生が懸念されている。商品同梱のチラシやダイレクトメール(DM)などの多くが税込価格で表記されているためで、大量の在庫を抱える通販会社や中小事業者にとって、廃棄費用や改訂に伴う作業負担が重荷となる恐れが出ている。ある大手健康食品通販会社の社長は、印刷物の差し替えにより「数十万から数百万規模の損失が生じ得る」と指摘する。
ウェブマーケティング主体の企業であれば広告の出稿量を調整して吸収することができそうだ。ただ、紙媒体に依存している小規模事業者への影響は大きいと考えられる。
作業に伴うマンパワーの負荷を含めれば影響はさらに広がると考えられる。
混乱を回避するための早期の制度決定や、移行期における「税抜価格+消費税」表記の容認など、柔軟な政策対応の必要性を訴える。
一方、受託する印刷業界側でも繁忙が予想されている。通販のDMの印刷を手掛ける福島印刷(本社石川県)によると、販促物は税込表示が基本であるため、税率が変われば大半が改訂対象となるという。
施行直前の時期にはシステム改修だけでなく、印刷会社への改版依頼が集中する見通しだ。ただ、近年では、DMなどの印刷物を在庫する場合、3~6カ月程度の適正在庫で運用する傾向が強いという。「半年以上の準備期間があれば在庫コントロールで凌げる可能性が高い」(営業部)と分析している。
消費刺激策として期待される減税措置だが、現場における移行コストや実務負担をどう抑えるかが今後の焦点となりそうだ。
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