家電のECサイト「ECカレント」を運営するストリームの業績が好調だ。2026年1月期のインターネット通販事業の売上高は、前期比8.7%増の315億8300万円だった。市村智樹社長は昨年7月に社長に着任しており、それ以降、社内改革に着手している。市村社長に前期の振り返り、今期の注力点、社内改革の内容などを聞いた。
──前期を振り返ってほしい。
社長就任当初、私は当社の”従業員のケア”を最優先に考えた。会社を動かすのは人のため、まず象徴的な施策として、社員のボーナスを約2倍に引き上げた。これは単なる金銭的な報酬ではなく、これからの改革に対する決意表明でもあった。
同時に、社内コミュニケーションの活性化のために日報制度を取り入れた。今でも毎朝、私が全社員の日報に目を通している。現場が抱える小さな悩みや提案を、直接私が吸い上げ、即座に経営判断へ反映させる。このスピード感こそが、組織に活気を取り戻す鍵につながっている。
──現場の声を直接拾い上げることで、何が変わったか?
私が掲げる”現状打破””スピード重視””ホスピタリティ”という三つの指針が、ようやく組織に浸透し始めたと思っている。今は問題に気が付いたら、「気付いた人がどんどん発信しよう」という文化に変わってきている。これがECの販促のスピードや改善精度の向上に直結している。
──前期はモールへの新規出店や、業務提携も締結した。詳細を伺いたい。
新たに「メルカリShops」に出店した。さらに、コスメ、雑貨、ペット用品を取り扱う「ワンズマート」を「Yahoo!ショッピング」にも出店した。
ギフト商品を取り扱うシャディと業務提携も締結した。これにより、新たに食品カテゴリーも拡充し、新規顧客の獲得にもつながっている。
さらに現在は、家具を取り扱う企業と連携し、ドロップシッピング方式による家具の販売も開始している。今後も、取り扱う商材を順次拡充していく方針だ。
営業利益2.87倍
──営業利益を見ると、今期2026年2-4月期(第1四半期)における営業利益は、前年同期比約2.87倍の9500万円だった。要因について伺いたい。
前期に行った構造改革が実を結んでいる。売り上げを無理に追うのではなく、利益を重視した構造改革を進めた結果だ。主にコールセンターと物流倉庫で働く人の内製化が奏功している。
これまで外部委託していたコールセンターを、自社で運営する体制へ切り替えた。さらに倉庫も内製化したことで、コスト削減につながっている。
コールセンターにおいては段階的に直雇用率を上げていきたいと考えており、これにより、さらに営業利益の改善につながると見込んでいる。
──今期、特に力を入れているマーケティング施策は?
SNSの活用を強化している。その中でも、TikTokには非常に注目している。米国や中国に比べると日本はこれから本格的に市場が拡大するとみているが、ライブ配信を見ながらその場で商品を購入する「TikTok Shop」は今後必ず普及してくると考えている。当社はすでに専門のインフルエンサーマーケティング企業と連携し、動画配信を通じた販売を開始している。フォロワーの多いインフルエンサーに商品を紹介・販売してもらうなど、「ECカレントTikTok Shop」の販促を強化している。
「ECカレント」の「LINE公式アカウント」を活用したCRM施策も強化していきたいと考えている。友だち登録者数は185万人を超え、新商品やキャンペーン情報を配信しているが、この大きな顧客基盤をまだ十分に活用しきれていないのが現状だ。SNSと販売は表裏一体のため、今後はCRM施策をさらに強化し、顧客との接点を深めていきたい。
──今後の展望は?
SNSの活用強化に加え、取扱商品数の拡充にも力を入れていきたいと考えている。商品の登録にAIを活用して、自動化も視野に入れている。ECにとって、”商品点数”は非常に重要だが、登録作業は非常に手間がかかる。将来的には、このプロセスに人的リソースを投入するのではなく、AIを導入することで、圧倒的なスピードとボリュームで商品を展開できるようにしていきたい。これが次の成長の鍵になるとみている。
