コンディショニングブランド「TENTIAL(テンシャル)」を展開するTENTIALの2025年8月期(決算期の変更により、2-8月の7カ月間の変則決算)の売上高は、111億3400万円となった。2025年8月までの12カ月(2024年9月-2025年8月)で集計した売上高は、前年同期間比149.0%増の193億8900万円。そのうち、約7割をEC売り上げが占めているという。急拡大を続ける同社の成長戦略について、中西裕太郎社長に話を聞いた。
信頼の積み重ね
──高い成長率を実現している要因は。
成長の要因は、健康に対する世の中のニーズ増加という追い風に加え、モノづくりを行うメーカーとして、「いいモノを作ってお客さまに届ける」というシンプルな原点を大切にしていることにあると考えている。売り上げの伸長は、ブランドへの信頼を積み重ね、お客さまから選ばれ続けた結果だと捉えている。
──現在のEC事業の立ち位置は。
もともと当社はオンラインから販売を始めた。いかにデジタル上で、購入いただけるように情報をそろえるかをテーマに取り組んできた。
ECサイトは自社開発を徹底している。お客さまが迷わず商品を選びやすい設計や、独自の世界観などを、自分たちでしっかりとマネジメントするためだ。
長期的な成長を見越し、デジタル上での体験価値の向上に投資し続けている。今後も引き続きEC事業には注力していく。
──顧客とのコミュニケーションで心がけていることは。
オンラインのコミュニケーションで最も大切にしているのは、「企業側のやりたいことをお客さまに押し付けない」ことだ。企業はどうしても経済合理性や数字を追求する。数字は重要だが、数字だけで判断していると、お客さまとのギャップが生じ、お客さま目線でないメッセージの発信になってしまいがちだ。
リピーター4割
──既存顧客の成長について聞きたい。
自社ECは新規顧客数も順調に推移しているが、それ以上に既存顧客の積み上げが成長をけん引している。
自社ECサイトの購入のうち、ギフトが約4割を占めており、既存顧客の売り上げの成長の要因となっている。ギフトを起点に、オーガニックなお薦めや紹介の連鎖が発生し、持続的な新規獲得にもつながっている。リピート購入が増加したり、ギフトニーズが高かったりするのは、〝大切な人に贈れる信頼〟を備えたブランドだからこそだと捉えている。
──御社の製品は大ヒットを続けている。プロダクトづくりの戦略について聞きたい。
当社のプロダクト開発において、「売れるから作る」という発想は取らない。累計販売200万枚セット(トップス・ボトムスで1セット換算。2025年12月時点)を突破した、「BAKUNE(バクネ)」の疲労回復パジャマも、アスリートや経営者が抱える、睡眠の悩みや課題を解決することが、開発の出発点だった。
お客さまの目線でコミュニケーションを重ね、誠実にモノづくりに取り組むことが、信頼につながる。信頼される企業・ブランドであり続けたいと考えている。
──海外展開について。
健康や睡眠の課題は全世界共通だ。まずは、日本での実績や信頼を比較的横展開しやすいアジア市場から進出を開始する。
世界に通用するエビデンスと、モノづくりの体制を整え、グローバル市場への挑戦を加速させていきたい。
──今後の展望は。
そもそも、会社を立ち上げた背景には、私自身が学生時代に病気を患った経験がある。「健康でなければ挑戦できない」といった原体験や思いが源泉にある。モノを売ることだけが目的ではない。睡眠環境の改善などを通じて、「人の可能性を引き出し続ける」ことが、当社やブランドのミッションだ。
お客さまから預かった売り上げを、より良いモノづくりの研究開発へと投資している。さらにスピード感を意識しながら、会社の成長が、社会の健康や貢献に直結するような仕組みを作り続けていきたい。
