急迫に乗じた高額請求「レスキュー商法」を行政処分の対象へ
鍵の紛失や水漏れ、自動車の故障などで困惑する消費者を狙った「レスキュー商法」に対し、強力な規制が導入される見通しだ。ウェブサイトで「500円〜」など極めて安価な提示をして消費者を呼び出したり来訪要請をさせたりするなどして、比較検討が困難な状況に乗じて合理的な根拠のない高額な契約を迫る行為を、特定商取引法(特商法)上の違法行為と位置づけ、行政処分の対象とする。十分な説明がないまま強引に工事等へ着手し、原状回復を困難にして契約を迫る手法(点検商法等)も訪問販売類型で違法化するほか、クーリング・オフ後の不当な返金拒否・遅延に対する執行強化や、悪質な行為への直罰(刑事罰)の適用拡大も盛り込まれた。
「後出しマルチ」を連鎖販売取引とみなす新規律
若者を中心に被害が広がっている詐欺的な投資・情報商材トラブルに対してもメスが入る。当初は単なる物品購入やサービス契約と偽り、契約締結後に「知人を紹介すれば代金を回収できる」などと告げて勧誘員に仕立て上げる、いわゆる「後出しマルチ」の手法について、特定利益の提示が行われた時点で「連鎖販売取引(マルチ商法)」が行われたものとみなす新規律を設ける。
これにより、当初の契約時点に遡ってクーリング・オフや特商法上の各種規制を適用できるようにし、追跡や被害回復が困難だった悪質事業者を包括的に取り締まる狙いがある。
「偽カウントダウン」や「ステマ」も直ちに処分対象
非対面のデジタル取引分野においても、踏み込んだ規制策が提示された。購入を急かす目的で「本日限定」と偽り、実際には翌日以降も同じ価格で販売を続ける「偽のカウントダウンタイマー」を「攻撃的表示・誤認表示」として強力に規制する。
ダークパターンの類型として位置づけることで、悪質な販売業者に対する業務停止命令や役員等の業務禁止命令といった厳しい行政処分の適用を迅速化させる。
景品表示法上の規制にとどまっていた「ステマ(広告である旨を隠した表示)」を通信販売の広告規律として特商法へ導入する。第三者の口コミを装う悪質業者が、特商法に基づいて行政処分となる可能性もある。
変更前後の対照明示や契約後の電子書面交付を一律義務化
通販の契約・申込プロセスにおける透明性向上策も盛り込まれた。注文確定後に、より高額なプランや別の追加商品を提示する「アップセル」や「クロスセル」に対しては、変更前後の注文内容や価格を対照させて明確に表示することを義務付ける。さらに、注文完了後遅滞なく、契約内容を記載した電子メール等の電子書面(後から改変できない形態)を交付することを一律に義務化する。これにより、消費者が自身の契約内容を正確に把握し、クーリング・オフや誤認に基づく取消権などの法的権利をスムーズに行使できる環境を整える。
なお、8月24日の第8回検討会では、事業者側の委員から「全国の大規模・中小事業者が一斉にシステム改修を行う必要が生じるため、莫大なコストと期間がかかる。導入にあたっては十分な準備期間を設けるべきだ」との強い主張もなされた。
プラットフォーム事業者への関与・要請権限の創出
悪質広告の拡散防止に向け、デジタルプラットフォーム(DPF)やSNS事業者等への関与も強化される。消費者庁などが特商法に基づき悪質な通販事業者へ行政処分を行った場合、その対象となった悪質広告を掲載している広告プラットフォーム等に対し、行政が法律に基づき「広告の削除」や「アカウントの停止・削除」を要請できるようにする。官民が連携して悪質広告を短期間で市場から排除する体制を構築する考えだ。本検討会は、8月24日に開催された討論の結果を踏まえ、9月2日に取りまとめを行う予定としている。
