──アフターコロナの取り組みについて教えてほしい。
通販は顔が見えない商売だ。これまでの通販では、それが当たり前だった。だがこれからの通販は、「どれだけ顔が見えるか」が重要になってくると考えている。
当社では近年、カフェやバイキングレストランといった実店舗を増やしている。私も3ヵ月に1度ほどだが、実店舗を回り、顧客と顔を合わせるようにしている。
実店舗には通販のパンフレットを設置し、持ち帰れるようにしている。当社の実店舗を気に入ってくれた人が、通販の顧客にもなってくれる。そういった循環を作りたいと思っている。
海外展開を強化
コロナ禍で停滞してしまっていた海外展開だが、2023年からやっと本格的に動き出すことができている。コラーゲンなどの健康食品はもちろんのこと、「豆腐」「おから」「せんべい」といった、日本独自の商品も売れている。
海外は、直販ではなく、卸という形で展開しており、2023年からは売り上げも拡大してきている。売り上げも国内と同等になりつつある。
CEO自らがインフルエンサーに
──SNSでの取り組みについて教えてほしい。
インスタグラムをメインに、フェイスブック、ティックトック、ボイシーなどを使っている。基本的には、私が発信者になることが多い。総フォロワー数は、30万人を超えている。
当社の顧客層は50~70代がメインだったが、2023年からは30~50代の顧客が増えた。
ティックトックでは、悩み相談動画がバズったこともあり、若年層の認知が急拡大している印象だ。
新たにコールセンターを新設
──テレビCMの反響はどうか。
九州を中心に全国で放送しており、山本リンダさんと私が出演している。
テレビCMというのは、企業の自己満足になってはいけないと思っている。顧客が何を求めているのかを考え、そのポイントを訴求する。商品を売り込むのではなく、商品の良さや、愛しとーとの岩本初恵という人物が、どういう人なのかを伝える場だと考えている。
2024年の春からは、テレビCMの本数を増やす予定だ。これまでのCMとは別に、ブランドごとの四つのCMを作ろうと思っている。
テレビCMを増やすと、電話の数も増える。特にスポットで特定の時間に増えるため、2024年3月に、天神にコールセンターを新設した。40席くらいの規模だ。
当社は9月が決算月。春から夏にかけて、売り上げを急拡大させていく方針だ。
海外展開による業績拡大はもちろんのこと、テレビCMでの、国内売り上げの拡大も見据えている。
2024年9月期は、全社売り上げとして100億円の達成を目指している。
昭和や平成初期といった時代は、成功事例をまねしていれば、ある程度成功できたと思う。若い人の数も多く、景気も良かった。売り上げを急拡大させる企業も多かっただろう。
だが、今の少子高齢化の時代はそうではない。SNSの浸透もあり、企業でなくとも、個人が発信できてしまう時代だ。まねするだけで成功できる時代ではなくなった。
私は父から経営学を学んだ。SNSなどでは、学んできたことを中心に発信している。時代が変わるにつれて、新たに学ぶことも多い。だが、「社員の生活を守る」という根底は、25年間ずっと変わっていない。どれだけ時代が変わっても、その根底は守り続けていけたらと思う。