「健やかな日々をサポートするお守り」に
──「仁丹」について、教えてください。
石田:「仁丹」は、亜仙薬やカンゾウ粗エキス末などを使った医薬部外品だ。「気分不快」や「口臭」「二日酔い」「乗り物酔い」に効果がある。2ミリ程度の小さい粒を、かんだり飲んだりすると、独特の苦みと清涼感が感じられる。
「仁丹」シリーズはこれまで、さまざまな味の仁丹を展開しており、来年で120周年を迎える。「仁丹」をリブランディングするにあたって、「仁丹」を「ありたい自分のパートナー」「健やかな日々をサポートしてくれる『お守り』」として位置付けた。
関西では、「仁丹」について、おじいちゃんやおばあちゃんの家に行くと、必ず置いてあるというイメージがある。多くの方が知ってくれている。
「仁丹」の商品のイメージについて消費者にアンケートを行ったところ、「ないと不安になる」「使うと気分爽快」といった、良いイメージを持っている人が多いことが分かった。
一方で、「なぜ食べるのかわからない」「仏壇の臭いがする」「くさい」といったイメージもあることが分かった。
ビジネスマンが、商談などの大事な仕事の前に「気つけ」の用途で使ってくれるケースも多い。有名なお笑い芸人にも、「仁丹」を愛用してくれている人がいる。
「仁丹」は口に入れると、メンソールの清涼感と同じキック感がある。やる気のスイッチとして使ってくれる人もいる。
「仁丹」のマイナスイメージを払拭し、「使うと気分が変わる、お守りのようなアイテム」というイメージを若い人に持ってもらいたいと考え、リブランディングすることにした。
タクシー企画も
──具体的にはどのようなプロモーションを行っているか。永田:SNSのX(旧ツイッター)を使ったプロモーションを行っている。インスタグラムやティックトックなどのSNSを検討したが、Xを使うと、企業やユーザー、ユーザー同士のコミュニケーションを活発化させることができると考えた。ポジティブな投稿が多いのか、ネガティブな投稿が多いのか、判定のしやすさも考慮した。
SNS上のプロモーションをきっかけに「仁丹」を知ってくれた人が、購入しやすい環境を作りたいと考えた。
ウェブ上で購入できるチャネルとしては、自社ECサイトとアマゾンを設定している。自社ECサイトとアマゾンのブランドサイトには、イメージを統一したデザインを施した。「仁丹」のブランドイメージを、今の若者でもキャッチーに目を引くグリーンカラーで統一した。
Xでは、15秒のブランドムービーを制作し、Xやユーチューブで公開している。動画をきっかけに、X上でユーザー同士がコミュニケーションするような話題作りを狙った。ブランドムービーは公開から1ヵ月弱で150万回以上再生された。
「ジンタン、ありやん」キャンペーンも実施している。コミカルに「仁丹」を食べるシーンを考えて投稿してもらう企画を実施した。「仁丹」について、味や形など、「何が気になるのか」を、ユーザーに問いかけて応えてもらう企画も実施している。ユーザーに、「仁丹」と自分の写真を撮影してもらい、投稿してもらう企画も実施している。
こうしたキャンペーンを通じて、ブランドサイトへの集客を行っている。
3月11日には、「ジンタン、ありやん?」のラッピングを施したタクシーが都内を走り回り、「仁丹」をPRするプロモーション企画もスタートした。
石田:仁丹の拡販には、ウェブだけでなく、店頭の卸先も増やしていく必要がある。卸先への営業も強化していく。
リブランディングは単発でなく、継続的に行いたい。