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2024.04.01

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【通販企業トップインタビュー】日清食品 ダイレクトマーケティング部部長 佐藤真有美氏「『ラクトフェリン』を事業譲受、年商100億円へ」

「カップヌードル」などを販売する食品メーカーの日清食品は2023年、ライオンから「ラクトフェリン」シリーズなどの機能性表示食品事業の一部を譲受した。日清食品では、「ラクトフェリン」の通販事業と、「トリプルバリア」など既存のウェルネス系商品、即席麺の通販事業を合わせて、年商100億円の達成を目標にしているという。日清食品の通販事業の戦略について、日清食品ダイレクトマーケティング部の佐藤真有美部長に話を聞いた。


オフラインのノウハウを武器に


──昨年、ライオンから「ラクトフェリン事業」を譲受した。現在の日清食品通販事業のラインアップを知りたい。

日清食品では2019年から、独自の乳酸菌を配合した美容サプリメント「ヒアルモイスト」シリーズや、食後の中性脂肪・血糖値の上昇を抑え、高めの血圧を下げる機能性表示食品「トリプルバリア」を中心とした通販事業を展開してきた。「完全メシ」ブランドの通販も手掛けている。

カップ麺などの通販事業も含めると、売上高は数十億円規模となっている。2023年3月期の通販事業においては、ウェルネス系商品の売り上げが7割以上を占めた。

ライオンが運営していた「ラクトフェリン」を中心とした機能性表示食品事業については、2023年5月に事業譲受を発表した。2023年11月までの6ヵ月間、当社とライオンの間で複数分野の分科会を開き、「ラクトフェリン」の商品特性や通販のマーケティングのノウハウの共有を行ってきた。2023年12月1日から、日清食品に「ラクトフェリン」事業が移管された。

──「ラクトフェリン」事業の譲受はスムーズに進んだか。

「ラクトフェリン」の通販の顧客は、ライオンからそのまま引き継いだ。事業主体がライオンから日清食品に変わったが、定期通販から退会した顧客は限定的だった。

「ラクトフェリン」は、機能性表示食品の第1号商品として知られる、ブランド力の高い商品だ。既存のブランドを生かしつつ、今後は日清食品として、プロモーションを行っていく。

「ラクトフェリン」はこれまで、新聞広告やダイレクトメール、同梱物でプロモーションを行い、主にコールセンターで受注する通販だった。そこに、日清食品が培ってきたデジタルマーケティングのノウハウを生かせると考えている。

逆に、日清食品が、「ラクトフェリン」のオフライン通販のノウハウを生かすこともできる。

ライオンの「ラクトフェリン」の事業部から日清食品へは、人材の異動などはなかった。通販事業で活用していた制作物や代理店などは一部引き継いだ。

健康な体は賢い食から


──日清食品の既存の通販について聞きたい。

2019年に「ヒアルモイスト」シリーズの展開を開始してから、ウェルネス系商品を中心に通販が伸びてきた。2020年には、ウェルネス系商品と即席麺などの売上比率が半々になった。

日清食品の創業者である安藤百福(ももふく)が掲げた企業理念の一つに、「美健賢食」というものがある。「美しく健康な身体は賢い食生活から」という意味だ。そこで、当社では、おいしさと健康の両方を追求している。古くは、食物繊維の「サイリウム」を配合したトクホのインスタントラーメンを、1997年に発売している。

こうした背景から、ウェルネス系商品の通販事業にも力を入れている。

当社の通販の新規顧客の獲得はこれまで、ウェブが中心だった。フェイスブックやインスタグラムに出稿した広告を経由した獲得が多かった。顧客の中心は30~50代だ。ウェブ経由で獲得した顧客は定期購入の継続率が低いといわれがちだが、当社の顧客は継続率が高く、主力商品は2回目以降も継続してくれる顧客は94%となっている。

2024年4月以降は、新聞広告やDMといった紙媒体での獲得も強化していく。

これまでにも紙媒体での獲得施策を実施したことがあるが、うまくいかなかった。現在は、ライオンからノウハウの共有を受けたこともあり、着実に成果を積んでいけると考えている。

今後の課題としては、規模が拡大してきた通販事業において、新規顧客の獲得やCRM、ブランディングに関わる人的リソースの強化が必要となっている。オペレーション業務における自動化・効率化の推進も課題の一つといえる。日清食品内で唯一、直接、顧客に商品を販売する部署ゆえ、抱えている課題は社内でも独特だ。現在の事業成長率を維持することで、社内を動かしていきたい。

決して遠くない将来、日清食品の通販の年商を100億円規模にまで高めたいと考えている。




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