大手食品メーカーのキユーピーの子会社で、健康食品やスキンケア商品の通販を展開するトウ・キユーピー(本社東京都、谷川和正社長)の2023年11月期の売上高は、前期比約12%増の56億円だった。化粧品の「ハンデコルテ」や「ヒアロワン」といったスキンケア商品の売り上げが伸長したとしている。既存顧客のロイヤルティーを高める戦略を推進したことによって、顧客の定期購入の継続率が高まったことも、増収に寄与したという。谷川和正社長に、2023年11月期中の健康食品通販の振り返りを聞いた。
スキンケア製品が伸長
──2023年11月の通販事業の振り返りを教えてほしい。
2023年はアフターコロナとなったことで環境の変化がどう影響するか気になったが、前期比でプラス成長となった。
売り上げは前期比12%増の56億円となった。営業利益も増益となった。
主力の機能性表示食品「ヒアロモイスチャ―240」の売り上げは前期比で横ばいだったが、スキンケア商品の「ハンデコルテ」や「ヒアロワン」の売り上げが伸びた。春先の季節には、「鼻の不快感」をケアする機能性表示食品の「ディアレ」も伸びた。
アフターコロナでは、外食の需要が増えた。その影響で、お酒を飲む人向けの商品として開発したサプリメント「よいときOne(ワン)」の売り上げが倍近く伸びたといった。
顧客のロイヤル化に投資
──2023年に取り組んだCRMの施策は。
定期顧客のロイヤル化を目指した。新規顧客獲得のための投資も重要だが、リアルへの消費が回帰するなど、新規顧客獲得は不確実性が高い。すでに接点を持っている顧客との接点を強化する方が重要だと考えた。
具体的には、外部委託しているコールセンターとの連携を密にした。スキンケア商品や健康食品についての、製品の概要や特徴、お客さまの声などを、オペレーターにしっかりと共有した。電話でお客さまに、商品を納得して購入してもらえるように、接客力を高めた。
定期の商品に同梱している会報誌では、愛用者インタビューのページを充実させた。愛用者に商品の使用感などをヒアリングし、記事を読んだお客さまが共感を持てるコンテンツを作成するように努めた。
愛用者インタビューの内容は、新聞広告にも反映していく。
ブランドや商品に対する顧客理解を深めるために、顧客満足度調査も改めて実施した。会報誌に商品やブランドに対するアンケートページを作っており、いただいた意見を今後に生かしていく。
こうしたコールセンターや会報誌の施策は、2024年も継続して実施するつもりだ。
ウェブの獲得比率が伸長
──新規顧客のオンライン比率は高まっているか。
顧客の購入チャネルは、ウェブの比率が高まっている。2022年11月期においては、オフラインの比率が約8割だったが、2023年11月期にはオフラインが65%、ウェブが35%になった。全体の広告予算は変えずに、ウェブへの投資割合を増やした形だ。
オフラインでは、接点を持てるお客さまのセグメントが限られると考えた。ウェブでは、まだ当社の商品を知らないお客さまが多いと考え、投資の比率を変えた。
現在獲得できているのは、リスティング広告やバナー広告(アドネットワーク)が中心だ。獲得効率の高い媒体の幅を広げていきたい。
ECモールでの売り上げも伸びている。特に、アマゾンでの売り上げがかなり伸びた。
今後も、従来のオフラインのチャネルでの定期販売を中心としつつ、ウェブやモールでの露出も増やしていきたい。
免疫サプリに注力
──昨年、「免疫」を表示できる機能性表示食品「ディアレプラス」を発売した。販売戦略は。
積極的に広告投資して、年間を通じて売れる商品に育てていきたい。
これまでの「ディアレ」は、「鼻の不快感」のケアという機能性から、春先に売れる傾向が強かった。「免疫」ケアは、季節に関わらずニーズがあると考えている。
キユーピーとして、「酢酸菌GK-1」の認知度を高めたいと考えている。