尿検査基に緻密に配合
──御社が提供しているパーソナライズサプリブランド「ビタノート」について、事業の進捗を聞きたい。
2017年に事業を開始した、パーソナライズニュートリションブランド「ビタノート」は現在、認知度が着実に増してきている。ウェブ広告経由で接点を持つ顧客も多いが、自然検索で流入してくれる顧客も多い。
2017年に事業を開始した当初、当時は珍しかったこともあり、プレスリリースがヤフーニュースで大きく取り上げられた。2020年には、「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」というアワードで最優秀賞を獲得し、以後徐々に認知が拡大している。
ここ数年で、パーソナライズサプリ市場に参入する事業者が格段に増えた。ただ、パーソナライズサービスの多くが、顧客のアンケート結果などを基に商品を提案している。
当社の「ビタノート」では、サービスを希望する顧客に対して尿検査を実施。尿検査の結果を基に、一人一人に適切な栄養素をミリグラム単位で配合したサプリメントを提供している。必要な栄養素以外の不要な添加物をほとんど配合していない。
当社は長野県に、食品安全に関する規格である「ISO22000」を取得した工場を有している。工場では、サプリメントを始めとした約200種類の食品を製造することが可能だ。
尿検査という科学的なエビデンスに基づき、一人一人に合った緻密な栄養素の配合を、自社工場で行っているという点で、他社のパーソナライズサプリと大きく差別化できていると考えている。
「食品」のハードル
パーソナライズサプリの市場の認知度が広がれば、本物のサービスを探しているユーザーが、当社にたどり着くという流れになっている。──パーソナライズサプリの市場について、どのように考えているか。
正直に言うと、パーソナライズサービスの事業者の中には、トレンドに乗じているだけだと思うケースも少なくない。「人の口に入るものを販売している」という意識がない事業者が多いと感じている。
ウェブアンケートを基にサービスを提供している事業者が多いが、アンケートは操作ができるため、信頼性に疑問を感じる。アンケートを基に間違った成分を提供した結果、成分の過剰摂取につながるケースもある。
サプリメントのD2Cの場合、OEMメーカーに製品の製造を委託するケースが多いが、パーソナライズサプリをOEMで製造すると、コスト効率が悪い。結果的に、数十~数百種類のパターンから選んで商品を提供するようなサービスになる。それが本当に「パーソナライズ」と言えるかは、疑問だ。
パーソナライズサービスに対するユーザーのリテラシーも高まっている。例えば、「タバコを吸っていますか」「お酒は飲みますか」といった質問をした場合、「この成分を配合するのだろうな」という予測ができるユーザーが増えている。
結果的に、パーソナライズサプリ市場に参入した事業者の20~30%は撤退しているとみている。
それに対して我々は、尿検査結果を基に自社工場で製品製造を行っている。「One to One」のサービスを提供できる体制がある。自社工場であるため、大量生産ではないが、効率的に製造できる仕組みもある。
──3月に提供を開始した「タイプフード」について知りたい。
「ビタノート」とは異なる新サービスだ。尿検査の結果から、自分の栄養タイプや栄養バランスを判定し、自分の体に合った食品をサブスクリプションで提供する。検査は試験紙で実施し、「ビタノート」よりも手軽なものになる。提供する食品としては、蒸しパンやカレー、ドレッシングなどを用意しており、多くを自社工場で製造する。
「ビタノート」のユーザーは、アスリートのように、本格的に体調管理をしたいという人が多い。「タイプフード」では、よりライトなユーザーを取り込みたいと考えている。
現在はテスト提供という形だが、2024年夏ごろの本格的なリリースを予定している。