ふるさと納税が市場に影響
同書籍は、国内3大ECモールのデータを横断的に取得し、精度の高い「Nint推計データ」を算出し、分析している。「ビール・発泡酒」「スキンケア・基礎化粧品」「健康家電」「生活家電」などのジャンルの分析や、「母の日」「おせち」といった季節催事の動向も分析している。
Nintのマーケティングディヴィジョン・デジタルマーケティングユニットの山本真大アナリストによると、アフターコロナでは、2023年5月にコロナが5類に分類されて以降、まず、「靴」ジャンルの売れ行きに、大きな変化があったという。外出自粛の期間が本格的に終了し、アウトドアのイベントへ出かけるために、靴を新調しようという消費者が増えたと予想されるという。
アマゾンでは特に、メンズシューズの商品の売れ行きが大きく伸びたとしている。
「母の日」などの季節催事を分析すると、コロナ前・コロナ中・コロナ後で、EC化率の伸長に合わせて市場が拡大しているが、同じ傾向が見られるという。催事の当日から1~2カ月前に商戦が始まり、当日1~2週間前に需要のピークが訪れていたとしている。
一方で、「おせち」や「土用の丑の日」などの一部のジャンルについては、需要期が分散する傾向があったという。
分散している背景には、ふるさと納税市場の拡大があるようだ。山本氏によると、元日に必要なおせちを、ふるさと納税の返礼品として予約するニーズが高まっており、元日の半年以上前に売り上げが大きくたっていた傾向が見られるという。
「土用の丑の日」のウナギの予約を、1月や2月にふるさと納税で予約するという動向も見られるという。
ハロウィーンに向けたEC商戦では、コロナ以前、大人用の仮装衣装が多く売れる傾向があったという。2020年以降、ハロウィーンを、外ではなく家庭で楽しむ傾向が強くなり、子供用の仮装衣装などが売れるようになった。
アフターコロナの2023年は、大人用の仮装衣装の売れ行きが戻りつつあるものの、2019年の水準には届かなかったという。子供用と大人用の両方の需要が存在したとしている。
書籍では、こうしたジャンルや市場別に、ECモール市場の動向を分析している。