三井不動産、”商業””物流”の両面支援 出資先とEC成長プラットフォーム構築

三井不動産は4月19日、統合コマースプラットフォーム「ecforce（イーシーフォース）」を提供するSUPER STUDIO（スーパースタジオ、本社東京都、林紘祐CEO）とともに、ECブランドの成長を”商業”と”物流”の両面から支援するプラットフォームの提供を開始した。OMO（リアルとデジタルの融合）の支援体制を構築し、ECブランドが提供する顧客体験を高め、柔軟に利用しやすい物流サービスも用意することで、成長を支援する。

三井不動産のベンチャー共創事業「31VENUTRES（サンイチベンチャーズ）」では、はSUPER STUDIOに出資しており、2022年6月からは共同で「OMOソリューション」を提供している。2023年7月には、SUPER STUDIOが三井不動産が運営する東京・渋谷の商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK（レイヤード ミヤシタ パーク）」に、ECブランドが週単位で出店できるOMO型店舗スペース「THE ［　］ STORE（ザ ストア）」を開設した。

「31VENUTRES」は2023年10月、ポップアップストアの出店支援プラットフォーム「SHOPCOUNTER（ショップカウンター）」を提供するカウンターワークスへ出資した。2024年2月には、物流プラットフォームを提供するオープンロジへも出資している。
　
三井不動産のロジスティクス本部は2012年4月から、物流施設開発の取り組みを開始している。「三井不動産ロジスティクスパーク（MFLP）」を旗艦ブランドとして、「MFLP船橋III」や「MFLP座間」など、国内外に開発・運営施設　66物件を展開している。

店舗活用しリアル支援

三井不動産はEC支援の体制が整ってきたことから、SUPER STUDIOと提供している「OMOソリューション」を”商業”と”物流”の領域へ拡張し、リアル・デジタルの両面からECブランドの成長を支援するプラットフォームの提供を開始した。

商業面においては、カウンターワークスとの連携により、「三井ショッピングパーク　ららぽーと」など大規模商業施設のポップアップ店舗においてOMOソリューションの提供を開始した。「THE ［　］ STORE」と「SHOPCOUNTER」の両ソリューションを活用し、ECブランドの成長支援をより一層強化する。

提携先と幅広く物流提案

物流面においては、三井不動産ロジスティクス本部イノベーション推進室が、新たに「＆LOGI Sharing（アンドロジ　シェアリング）」として、EC事業者の物流をリアルとデジタルの両面で一括支援するサービスを提供する。オープンロジが提供する「オープンロジ」を活用することで、提携先倉庫約70社に対して物流業務のアウトソーシングが可能だ。
　
2024年2月には、SUPER STUDIOが提供する「ecforce」と「オープンロジ」のAPI連携が完了している。
　
デジタル面での支援に加えて、三井不動産のリアルアセットとして「MFLP 船橋III」では、2階と4階の2区画がEC事業者向けの物流業務を担う最先端施設となっており、4階では三井不動産の自社ECサイト「＆mall」の荷物を自動化倉庫や自動製函・梱包機を用いて取り扱っている。
　
この「EC自動化物流センター」は、他産業へシェアリングする提案を行っており、物流会社のロジスティードとともに高品質・効率な物流業務を提供している。

2階では、EC事業者の物流フルフィルメントサービスを担い、多くの運用実績で培ったノウハウを強みとする物流会社のエクシークが、「FULFILLMENT PARK（フルフィルメントパーク）」として多様な倉庫管理システム（WMS）や出荷に柔軟に対応している。AIロボットを用いた物流の省人化・高効率も進めている。
　
さらに今後は、オープンロジの提携倉庫として、「MFLP 船橋III」の2階・4階の連携を検討している。

将来的にはECに限らず、リテール業界全体のOMO実現に貢献するプラットフォームへの進化を目指す。