本紙が取材したところ、ガイドラインの改正後に、国立栄研のデータベースを使った、機能性表示食品の複数の届け出が、差し戻されていることが分かった。
差し戻しの理由として消費者庁は、国立栄研の素材情報データベースの安全性の情報が、現在は公開されていないことを指摘している。国立栄研が、データベースの情報の商用目的の利用を禁じていることにも言及しており、「適切なデータベース等を用いて安全性評価を行ってください」と呼び掛けている。
国立栄研のデータベースには、「ここに記した情報は、無断転用、引用、商用目的の利用は厳禁です」と記載されている。「これまで公開しておりました『素材情報データベース』は、メンテナンスのため、現在休止中です」とも記載している。
国立栄研は2022年6月7日、同研究所のデータベースに、(一社)日本健康食品サプリメント・情報センター(jahfic)の医薬品などの情報データベース「ナチュラルメディシン」の内容を、許可なく要約して掲載していたことが分かったなどとして、担当の主任研究員を停職処分としていた。関係者によると、国立栄研のデータベースが使えなくなったのは、これに関連した著作権の問題だと思われるという。
消費者庁は9月末、「機能性表示食品の届け出等に関するガイドライン」を改正。改正した「機能性表示食品に関する質疑応答集」では、安全性の評価に公的機関のデータベースを用いる規定の中に、新たに「データベースから得た情報の使用に当たっては、当該データベースの利用規約に従うものとする」という内容を追加していた。
機能性表示食品の届け出を多く行う、ある事業者は、「当社でも、国立栄研のデータを使用した届け出をかなりの数で行っている。今回データが使用できなくなったことで、原料メーカーが安全性資料の見直しを行う事態となっている。届け出受理のタイミングが予想よりも後ろ倒しになり、販売開始時期に遅れが生じる影響が出ている」(製品開発担当者)と話している。