特定分野でナンバーワン
――商材でいうと、ワインや日本酒など「通販でナンバーワン」という実績を作り、それがブランドにもなっていると思う。カテゴリーでトップを獲るのも戦略的に有効なのか?
小さい領域でも業界ナンバーワンというのは、大事なことだと思う。総合通販のネット展開においても、若年層のこのブランドがとか、このメンズのカテゴリーがとか、絞った領域でナンバーワンを目指すことが大事だと思う。ワインはワインで「ELEVIN(エレヴァン)」という高級ワイン専門サイトを立ち上げて、さらに取り組みを強化している。
――通販以外でもホテル経営などプロパティ事業にも力を入れて、成果を上げている。
現在、関係会社も含めてホテルは全部で32件運営している。うまく経営していると思っている。当社が経営するようになって、初めて黒字化したホテルもある。もともと大きな投資をして建設したホテルは償却の金額も大きく、なかなか利益を出しづらい。当社は資産価値を見極めた上で、途中から経営しているから、償却が少なく、利益を出せている。
――現在の通販事業で注力していることや課題は?
基本に立ち返り商品力の強化に注力している。画像、コピー、デザインで斬新さを出すように工夫している。価格はメリハリをつけて取り組んでいる。
主力のカタログ通販にとって紙、印刷代の値上げはかなりインパクトが大きい。売り上げをさほど落とさず、新しいステージに進めるよう模索している。
今後も商品力の強化と、紙とネットの融合を一層進めていく。あとは当社の持ち味のポートフォリオの強化も進める。ソリューション事業、単品通販、プロパティ事業、呉服事業の成長と収益力の強化、育成を進め、強くたくましい事業の集合体を目指す。
3極化がより鮮明に
――今後の通販市場はどのように変化していくと思うか?
ネット通販は参入障壁が低く、新規参入企業が続くと思うが、勝ち組・負け組の差がはっきりしてくると思う。ブランド価値があって価格が通用する企業か、価格訴求で浸透を図れる企業は生き残るだろう。通販・EC市場のマーケットは確実に拡大すると思う。
――10年後の通販市場はどのようになっていると想像できるか?
通販事業はアマゾンや楽天グループ、ゾゾなど大手ECモールを中心に成長が続くと思う。実店舗に対してどんな利益を提供できるかが成長のポイントだと思う。あとは実店舗とネットとのシナジーを発揮できる企業も成長を継続できるだろう。AIの浸透、チャットGPTなど時代の変化に上手く対応した企業も成長すると思う。
家族経営のパパママストアも生き残ると思う。家族でやっているからコストがかからない。必要以上に儲ける必要がないから、倒れることもない。勝ち組・負け組の二極化に加えて、パパママストアで生き残る組の3極に分かれつつも、全体は成長するでしょう。