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2023.11.26

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楽天グループ 常務執行役員 松村亮氏「5つの挑戦で成長、先鋭化する2つの方向性へ進化」【40周年記念インタビュー】 [2/3]

楽天グループ 常務執行役員 コマース&マーケティングカンパニー シニアヴァイスプレジデント 松村亮氏

楽天の5つの挑戦


――楽天としての大きな変化や挑戦は何だったのか?

大きく5つの挑戦があったと思う。

1つ目は、まず「楽天市場」に出店してもらい、商品を出してもらうという最初のフェーズだ。黎明期は店舗も少なく、商品も少なく、なかなか売れなかった。売れないと店舗も集まらないし、店舗が集まらないと商品も集まらず、お客さんも増えないというジレンマがあった。そんな状況でも「楽天市場」のコンセプトやビジョンに共感していただき、商品を出してくれる店舗が集まってきた。徐々に店舗や商品が集まり、それを見に来るお客さんが集まる、というサイクルができていった。そのサイクルを回せるようになるまでが、最初の大きな挑戦だったと思う。

2つ目が「楽天スーパーSALE」を代表するイベントだ。店舗を巻き込み、皆さんの知恵と工夫とリソースを生かすことができると、楽天が単独で施策を実施するよりも大きなパワーが生まれる。店舗さんの知恵や個性、パワーを引き出すためには、仕掛けが必要だった。最も象徴的なイベントが12年から開始した「楽天スーパーSALE」だ。

楽天も資金やリソースをかけて努力するので、そのタイミングや期間は店舗さんも一緒に注力していただき、「楽天市場」を盛り上げていきましょうと参加を促した。楽天としてはテレビCMを放送し、お客さんを集め、店舗さんにはお得な商品やユニークな企画を出していただいた。イベントを成功させる背景には、店舗を担当する当社のECコンサルタント(ECC)がいたことが大きかった。

3つ目は、「楽天市場」だけを盛り上げるのではなく、グループ全体のサービスとつなげていこうという目的で16年に始めた、「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」だ。ECから始まった楽天は、グループのサービスが増え、それらのサービスを使えば使うほど「楽天市場」がお得になるという仕掛けを実施した。「SPU」を皮切りに「楽天経済圏(エコシステム)」全体を盛り上げる取り組みを強化していった。

4つ目が物流への投資強化だ。流通総額の拡大により、より大きな物流のキャパシティが必要になっていった。売りたい店舗がたくさんいて、買いたいお客さんがたくさんいても、物流がボトルネックになってしまっては意味がない。楽天としても物流への投資を強化し、独自のサービスを開発していた。現在は日本郵便との協業なども進め、サービスを進化させている。

5つ目は、取扱商品のさらなる拡充だ。全国の店舗さんに出店していただき、多くの商品をそろえることができた。さらにその先を見据え、より日常的な商品や高級なブランドなど、ナショナルブランドやラグジュアリーブランドまで取扱商品を広げている。「何でも楽天市場で買える」状態を作りたいと考えている。

――近年はAI活用にも注力しているが、最新テクノロジーを生かす取り組みにも注力しているのか?

以前からビッグデータとAIを活用する取り組みは進めている。膨大な商品データとAIを活用し、お客さんに使いやすい売り場を作っていく取り組みを続けている。

ここ1年くらいで生成AIを活用できる環境が整ってきたこともあり、楽天としてもOpenAI(オープンエーアイ)社との協業を進めている。次世代技術を積極的に取り入れ,お客さんや店舗さんに還元していく。

AIで店舗の運営業務を効率化できるようにし、空いた時間で店舗が商品開発やマーケティングなどをより強化できる環境を作りたいと考えている。

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