「ビーサポ」は、全国約160カ所の高齢者施設に入居する6000人の高齢者に、地元のサッカークラブのサポーターになってもらうプロジェクト。クラブや地域を支える存在になってもらおうという取り組みだ。サポーターになることで、日々の生活を元気に過ごすきっかけにしてもらう狙いもあるという。
表彰イベントでは、兵庫県や富山県、大阪府などの施設で暮らす、5人の高齢者が「ビーサポ」のサポーターとして過ごす様子が紹介された。五つのストーリーは、全国から応募があった85のストーリーから選出されたという。
「蘇る闘魂賞」には、大阪府の92歳の男性である本間さんのストーリーが選ばれ、紹介された。本間さんは、若いころ戦争で片足をなくした。施設に入居後は、「ビーサポ」でセレッソ大阪のサポーターとなった。チームの応援のため、試合の日にスタジアムのピッチでフラッグを持つことを目標に、自主的に歩行訓練を重ねたという。無事にスタジアムに立つことができたときは、「ほっとしたわ」という一言を漏らしたという。
「みんなのムードメーカー賞」を受賞したストーリーに登場した富山県の元シェフの山本さんは、施設に入居してから、「死にたい」と言うほど落ち込んでいたそうだ。「ビーサポ」に参加し、カターレ富山の応援をするようになると、自ら応援団長となり、施設を盛り上げるようになった。気持ちが元気になり、奥さんと施設で、初めて結婚式も挙げたという。
表彰イベントに登壇した、サントリーウエルネスの沖中直人社長は、「高齢の男性の中には、施設でフレンドリーに過ごすことが難しい人もいる。『ビーサポ』に参加してくれたことで、一歩踏み出すきっかけを持ってもらったエピソードだった」と話した。
▲サントリーウエルネスの沖中直人社長(左)とタレントのにしおかすみこ(左)
イベントにはタレントのにしおかすみこも登場。母親の介護をしている自分の生活のことを交えつつ、「『ビーサポ』に参加して、みんなでテレビを見て応援すると、気持ちが共鳴してとてもいい。私も参加して、母とときめき探しをしたい」などと話した。