DXのトレンドは”生成AI”
コンタクトセンター市場において、現在最もホットな話題は「生成AI」だろう。コンタクトセンター企業、通販企業を取材する中で、「生成AI」に関する話題を耳にする機会は多い。
ただ、まだ「生成AI」を効果的に活用できている企業は少ないと感じている。「生成AI」をうまく活用できれば、コンタクトセンターに集まる消費者の声をより効率的に収集・分析することができ、導入企業のマーケティングや商品開発などに生かすことができるだろう。
チャットボットなど顧客対応においても最適な返答ができ、新たな需要を喚起できるかもしれない。「生成AI」を最大限活用できる企業こそ、コロナの反動で業績に伸び悩むコンタクトセンター企業の中で一歩リードできる可能性がある。
アルティウスリンクが1周年
今回の「コンタクトセンター売上高調査」では、アルティウスリンクの売上高を掲載した。アルティウスリンクは2023年、業界内でも有力企業として知られるりらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバが経営統合して発足した。
今回の調査において、アルティウスリンクのデータは、前年と正確に比較できないが、2024年3月期の売上高は2388億7000万円となり、2位にランクインした。
経営統合に伴い、データ活用やDXに精通した両社が一つのグループとして協働することで、より優れたサービスを開発できる体制が整っている。
目立つ減収企業
今回の「コンタクトセンター売上高調査」では、減収企業が目立った。コロナ関連の案件が減少したことで、減収に転じる企業が多かった。
その中で増収となった企業もある。一部の増収企業の成長要因を探る。
▲コンタクトセンター上位30者売上高合計と伸び率
売上高8位のSCSKサービスウェアの24年3月期の売上高は、同7.1%増の378億6500万円だった。2023年4月、コールセンターのアウトソーシング事業を展開するアイネットサポートの全株式を取得し、子会社化した。
アイネットサポートの株式取得は、SCSKサービスウェアのノンテクニカル領域のコールセンター事業の拡大と、効率的な運営を行うためのリソース強化に寄与する。アイネットサポートはSCSKサービスウェアが保有する営業基盤や、業務系サービスと組み合わせた提案が可能となる。SCSKサービスウェアはアイネットサポートとともに、顧客の経営課題を解決し、新たな価値を提供している。
売上高ランキングで9位となったビーウィズは、24年5月期の売上高が前期比8.5%増の351億5800万円だった。「ライフライン」「金融」「流通」「情報通信」業界を重点戦略領域とし、専門性を高めたソリューションを提供している。高機能なクラウド型PBX(構内電話交換機)「Omnia LINK(オムニアリンク)」と組み合わせたコンタクトセンターの受託業務の提案により、サービスの企画・提案や、付加価値、品質を向上することで、受託数の増加につなげた。
<コンタクトセンター売上高調査> 表の見方
▽コンタクトセンター業務を受託しているサービスエージェンシーの、2023年4月から2024年3月の間に迎えた決算期における売上高実績を集計した。▽専業企業は全社および連結の売上高、他の事業も手がける兼業企業は部門売上高を掲載した。コールセンター受託が基本だが、関連事業の範囲は各社の判断による。
▽売り上げは100万円単位で、10万円以下は切り捨てた。増減率は小数点第二位を四捨五入した。
社名にある◇印の注記は次の通り。
◇アルティウスリンク=りらいあコミュニケーションズとKDDIエボルバの経営統合で発足、合併前の2社の売り上げの合算値
◇ギグワークス=グループ全体の売上高
◇キューアンドエー=売り上げ実績は、コールセンター事業のグループ全体(キューアンドエー、ディー・キュービック、ランゲージワン)の連結売上高
◇ベルウェール渋谷=グループ全体の売上高
◇バーチャレクス・コンサルティング=アウトソーシング事業の売上高
◇TACT=TACT全体の売上高