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2024.12.28

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【インタビュー】シニアライフクリエイト 高橋洋社長、「医療的な予防としても利用を広げる」

髙橋洋社長


シニアライフクリエイト(本社東京都)の高齢者向け配食事業に関する2024年2月期の売上高は、前期比5.1%増の140億3000万円となった。地域医療と連携して、高齢者へ食生活に関する啓蒙活動を行い、医療的な予防としても宅配弁当の利用を広げている。高橋洋社長に話を聞いた。




──2024年の課題と取り組みについて伺いたい。


「宅配クック ワン・ツゥ・スリー」の利用を、在宅介護時の利用としてだけではなく、介護レベルが上がらないように医療的な予防として利用してもらえるように啓蒙活動を進めた。当社の宅配弁当に頼らざるを得ない状況にならないように、食事ケアに関する情報提供をしている。

週に2~3回程度、栄養を考えた食事を摂ることで、持病の悪化や介護の重度化を遅らせるようなケア方法だ。思いの外、60代よりも80代が数年後を見据えて栄養管理をしようと考えてくれるようになった。病院に行く回数や薬の数が減る、介護度が重度化しないことで支出も減るので、そういったメリットも説明している。

各地域で高齢者向けに健康をテーマにしたイベントを開くなどして、啓蒙を行っている。管理栄養士から食生活に関する講和をしたり、当社の弁当を試食してもらったり、栄養バランスを考えた食事を摂ることが健康寿命を延ばすことにつながると伝えている。塩分を摂取しすぎると高血圧になってしまったり、タンパク質が不足していると一度転倒しただけで寝たきりになってしまったりすることを例に挙げながら、日ごろの食事の大切さを説明している。

「幸たんぱく食」は高齢者でも食べきれる量で、タンパク質が20グラム摂れる商品。スーパーやコンビニに同様のものは売っていない。ご自身で栄養バランスを考えるのが面倒な人の利用が増えてきている。

イベント直後の契約は多くない。活動を繰り返し行い、徐々に食事でケアすることの意識を高めている。

──配達員を中心に人材確保の課題を聞くが、どのような対策を講じているか。

当社で働くスタッフは、弁当を配達しながら利用者の安否確認を行うことを、社会貢献活動のように感じて、やりがいを持ってくれている。退職する際に、代わりとなる人材を紹介するスタッフもいる。

地域勉強会で当社の運営方針に共感してくれるスタッフも多く、単なる弁当配達にならない点に就業の魅力を感じてくれている。速く、数多く届けるというよりも、1軒1軒安否確認も含めて丁寧に配達をすることに、ケアマネジャーや利用者の家族にも共感をもらっている。

──2026年2月期の計画を伺いたい。
 
2023年に連携協定を締結した高知県土佐清水市では、当社の弁当を病院退院時のカンファレンスで退院後の食事指導に利用してもらっている。病院は退院後の食生活に関与しないので、そこに切り込む形となった。病院に戻ってこないような仕組みづくりだ。現在、土佐清水市では月間3000食を配達している。

日本で一番ベッド数の多い高知県で成功事例を作り、四国地方、全国へ同様の取り組みを広げていきたい。

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