冷凍宅配食サービス「nosh(ナッシュ)」を展開するナッシュ(本社大阪府、田中智也代表)は、販売食数を伸ばし続けている。多角的なプロモーションと商品設計の見直しが販売食数拡大の背景にはあるという。今後もプロモーションを強化しつつ、冷凍庫の販売やシーズナルイベントでの訴求に注力していく方針だ。
「nosh」は糖質30グラム、塩分2.5グラム以下の栄養価基準の冷凍弁当を宅配するサービスだ。これまでさまざまなデジタルマーケティングを実施し、販売数の増加につなげてきた。
現在も販売食数は増え続けている。
「新規のお客さまも堅調に増えており、30~40代の単身者からの購入が増えている。ゲーム実況者のユーチューバーとのタイアップで、『nosh』を知る人が増え、首都圏、地方ともに認知度が拡大している。最近では、テレビCMやリスティング広告なども積極的に展開しており、お客さまに知ってもらえる”面”が広がっている」(マーケティング本部 マーケティング部 黒木大地部長)と説明する。
ナッシュは2024年、商品企画の方針を刷新した。商品数を常時100種類以上、商品の内容量を230グラム以上になるように変更した。
「大多数の商品をアップデートしている。内容量を増やすと、栄養素も上がる。だが、当社としては糖質・塩分には基準を設けている。内容量と栄養価をうまく調整しながら、お客さまが求める商品へと刷新している」(同)と話す。

▲商品企画方針を刷新
ナッシュでは2023年より、ユーチューバーとの契約を代理店に依頼するのではなく、自社で直接依頼するようにしている。内製化することで、代理店に支払う手数料がなくなり、コストを削減できる。
「ユーチューバーに連絡するのも、そのユーチューバーのアカウントの概要欄を見ると、『お仕事の依頼はこちら』とメールアドレスを記載していることがある。そこに個別に連絡して、話を進めていく。地道な作業だ」(同)と語る。
冷凍庫の販売を開始
今後の展望として、ナッシュは冷凍庫の販売を開始する。現在の家庭の冷凍庫は保管場所の取り合いになっていることも多く、ナッシュとして「セカンド冷凍庫」を訴求していく。
他社でも冷凍庫を取り扱っているが、年数や食数プランに縛りがある。だが、ナッシュでは、制限なく販売している。
「冷凍庫の販売で儲けようとは思っていない。冷凍庫の販売価格も平均の相場価格よりも安く設定しており、冷凍庫を販売しても利益は大きく出ない。売り上げではなく、お客さまに良い体験をしてもらおうと、『顧客体験』を重視した」(同)と強調する。
まずはテストマーケティングを実施していく。パートナー企業から購入者のもとに直送してもらい、スペックやサイズ、使用感などを確認する。その後、ナッシュとして冷凍庫を仕入れて、価格を下げて販売することを目指していくという。
シーズナルイベントでの訴求も行っていく。ナッシュはこれまで積極的にシーズナルイベントに応じた商品販売は行っておらず、今後は四季を感じられる商品を開発していくという。
「当たり前の取り組みのようだが、その当たり前のことができていなかった。そのときの季節に合った食材を用いて商品開発を進めていく。『父の日』や『母の日』には、両親に感謝を伝えるべく、時短でご飯を食べて、料理の時間を別の楽しみの時間に費やそうと提案できると思っている。ビールセットなど、お父さんが好む商品を開発していく」(同)と展望を話す。