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2025.07.02

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【通販化粧品 トップインタビュー】I-ne 執行役員・CDMO 伊藤翔哉氏、「『スキンケア』『新カテゴリー』を成長の柱に育成」

伊藤翔哉氏


自社開発した美容品・日用品などの、ブランド運営、小売・EC展開を行うI-ne(アイエヌイー)の2024年12月期の連結売上高は、前期比8.1%増の450億円だった。ECの売り上げは、その内約3割を占めているという。「ボタニスト」「YOLU(ヨル)」「サロニア」など、ヒット商品を次々と生み出している、同社のEC事業の成長戦略について、執行役員・CDMO(チーフ・デジタルマーケティング・オフィサー)を務める伊藤翔哉氏に話を聞いた。




EC売り上げが拡大


──2024年12月期のEC事業について聞きたい。

EC売上高は全体の約3割で、全社業績の成長に伴ってEC事業も伸長している。

市場全体の成長を追い風にしながら、当社として新たな販売チャネルの拡充を行ってきたことが成長の一因となっている。これまで楽天市場やアマゾン、ヤフーといったECモールがECの中心だったが、2024年は自社サイトの強化を図った。さらに、「Qoo10」や「ロハコ」といった新規販路にフォーカスし、取り扱いを拡大した。

現在、当社のEC事業の役割として、リピートのお客さまに活用していただくフェーズにあるため、「大容量」「セット品」などのラインアップを広げている。

美容家電ブランド「サロニア」は、ECモールとの相性が良く、ヘアケア商材に比べてEC化率も高い傾向がある。「EMSリフトブラシ」のような、「サロニア」ブランドの中高価格帯の商品が伸長したことも、好調の要因となった。
 
──ユーザーとのコミュニケーションで重視していることは?

テクニカルな部分はもちろん重要だが、「気持ちに寄り添うようなアプローチ」にも力を入れている。

お客さまのリテラシーが高まる中、「価格への納得感」にも注目している。安ければ良いというわけではなく、「なぜその価格なのか」、私たち自身が、自信を持って伝えないと、リテラシーが高まっているお客さまに選んでいただけない時代になっていくのではないかと考えている。 


スキンケアカテゴリー好調


──御社では今後、「スキンケア」「新カテゴリー」を新たな成長の柱として育成すると聞いた。

「スキンケア他」カテゴリーの2024年12月期の売り上げは、前期比で35.5%増となった。2024年12月期から参画したトゥベールの増収が、成長に寄与した。トゥベールは、ECチャネルの売り上げが好調で、創業以来で過去最高の売上高を更新した。EC関連のアワードも複数獲得している。

2024年10月に、トゥヴェールを完全子会社化した。トゥヴェールではこれまで、成分研究の専門家から生まれた化粧品を展開してきた。今後は、その専門家に、I-neの商品開発にも携わっていただき、I-neグループ全体の、商品の品質のさらなる向上など、シナジーを生んでいきたいと考えている。


”オーガニック”な顧客を育成


──今後の成長戦略についても聞きたい。

「”見せ方”が重視される時代から、”本質”が問われる時代へと移行しつつある」との実感がある。

日本の美容商材は、品質面で、世界的に見ても高水準である傾向がある。トレンドに過度に振り回されず、その良さにしっかりと向き合い、伝えていく姿勢が、今後さらに重要性を増していくと考えている。

当社では、研究開発チームとは別に、ファブレス型R&Dという新領域を実現する新組織「価値創造研究室」を発足させた。独自の処方・成分の開発や産学連携の強化を図る。中長期的な視点で、「最先端のマーケティングの手法」と「商品の本質的な良さ」の追求を両軸として、展開を強化する狙いがある。

新たなカテゴリーへの挑戦も進めており、これまで培ってきたブランドごとのナレッジを横展開していく考えだ。

広告で新規を獲得して実績を詰みあげていくような、従来の、マーケティングだけで拡大を続ける時代は、終わりつつあると感じている。一度購入いただいたお客さまに、UGCで発信してもらうことにより、オーガニックな拡散が生まれる。今後はオーガニックで買っていただけるお客さまをいかに増やせるか、というのが有力な戦い方の一つになってきていると考えている。”オーガニック”な顧客の育成にも力を入れる。

こうした取り組みを通じて、企業全体としての持続的な成長を目指していく方針だ。

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