破損件数は807件
破損した冷凍クリスマスケーキの販売個数は、2879個。その内、破損件数は807件(2023年12月27日時点)だったという。
高島屋では、破損の原因について、独自の調査結果を踏まえ「特定をすることは不可能」と発表している。
ただ、原因や対策が分からなければ同業他社も「明日は我が身」のリスクにおののかざるを得ない。本紙は関係者や識者に取材し真相に迫ろうと試みた。
冷凍時間が短縮
通販関係の物流事業者数社に取材したところ、ほぼ共通していたのが「物流ではなく製造側の問題ではないか」という意見だった。
ただ、同ケーキについては前回(2022年)も2500個ほど販売したが、大きな問題は発生しなかったという。
ケーキの製造元の企業に問い合わせたところ、「取材は受け付けていない」と回答した。
今回は前回(2022年)から、凍結時間に変更があった。高島屋は会見で、冷凍時間が短くなった要因として、「イチゴの入荷が遅れた」ことを挙げている。2022年は2週間をかけて冷凍していたが、2023年は冷凍時間を20~25時間に短縮したという。
この冷凍時間が十分だったか両論がある。
高島屋は、「凍結時間に変更があったが、事前の凍結試験や実際のサンプル検査において、問題はなかった」との見解だ。
理想的な冷凍時間とは
冷凍ケーキをECで販売するCake.jp(ケーキジェーピー、本社東京都)に、理想的な冷凍時間について聞いたところ「使っている原材料や工程、ケーキの大きさにもよるが、24時間程度でおおよそ冷凍は完了すると考えている」と話していた。
ただ「まとめて冷凍したりすると冷気が行き届かず、半冷凍状態になることもある。バッファ(余裕)を見て48時間程度冷凍してから出荷する事業者が多い印象だ」とも付け加えた。「実際、積み重なって保管した状態で冷凍した場合、24時間経過しても凍っていない商品を見かけることもある」と言う。
「余裕を見た冷凍時間」など、同業者が冷凍ケーキを扱う食品通販・EC事業者が、少なくとも講じておくべき対策はありそうだ。