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2026.01.04

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【新春通販インタビュー】サントリーウエルネス 栗原勝範社長「人生100年時代の『ライフパートナー』として」

栗原勝範氏


健康食品通販最大手のサントリーウエルネスの栗原勝範社長は、2024年の紅麹問題以降、市場全体が難局を迎える中で社長に就任し、1年を迎えた。サントリーウエルネスでは、これまでのメインターゲットであるシニア世代に引き続き寄り添いつつ、50代の「団塊ジュニア世代」にターゲットを広げていく考えだ。AI時代に「人の温かみ」を武器に展開するサントリーウエルネスの顧客コミュニケーションについて聞いた。



逆風でも現場はブレない


──社長就任から1年が経過した。サントリーウエルネスの事業の現状をどう評価しているか。

 
外部環境は厳しいが、この1年、製造から物流、そして顧客対応の最前線まで、徹底的に現場を回ってきた結果、われわれの「現場力」は、市場の逆風によって全く衰えていないと感じた。高いレベルのプロ意識が維持されている。この強固な基盤がある限り、この難局は必ず成長の機会に変えられる。
 
サントリーグループ全体の中で人生100年時代における「シニアステージ」の「豊かな生活文化」を提案していく、ということがわれわれの使命だと考えている。われわれの顧客はシニア世代が中心だ。単にサプリを売る会社ではなく、シニアの人生を豊かにする文化を共に創り上げる「ライフパートナー」であると考えている。
 
──新規顧客獲得のコストは高騰している。戦略は。
 
これまで当社は、主に70~80代の「団塊の世代」にアプローチしてきた。引き続きシニア世代に寄り添うアプローチは続けていくが、次なる成長エンジンとして、現在の50代を中心とする「団塊ジュニア世代」も新たなターゲットとして設定した。
 
彼らは、親世代が健康食品を飲み始めた頃と同じ世代に差しかかっており、健康意識が高まり始めるタイミングとなっている。この50代にしっかりとリーチし、長期間にわたり当社のファンになってもらえれば、LTVを最大化し、新たな市場を切り開いていけると考えている。


デジタルと人との融合


──「団塊ジュニア世代」への接点は。
 
これまで当社の主力だった従来型のインフォマーシャルやDMに限らない接点の拡大が大切だと考えている。
 
彼らはデジタルに慣れ親しみ、情報収集や購買行動の場所が変わっている。われわれは、「ダイレクトコミュニケーション」という核は譲らないものの、その手段を調整していく。
 
デジタル技術と「人の温かみ」の融合がそれを可能にすると考えている。われわれは内製化されたコールセンターという圧倒的な「人の力」を持っている。AI化が進む中で、本当に困っているお客さまの「心の奥底の不安」は、依然として人しかすくい取れない。この「温かいコンタクト」という武器を最大限に生かしていく。

──デジタルとの融合の要となるのは、アプリ「Comado(コマド)」か。
 
「Comado」は次の主戦場となるだろう。先日、当社と高齢者施設、サッカーJリーグの3者の共同プロジェクトである「Be supporters!(ビーサポーターズ、ビーサポ)」の「人生100年時代の物語大賞」の投票を、「Comado」で募った。すると、予想をはるかに超える約8000人以上のお客さまが投票に参加してくれた。熱量の高いコメントを多数寄せられた。シニア層がアプリを使いこなし、企画に積極的に参加したという事実に、特に驚いた。
 
これは、デジタルを通じても「熱狂的なコミュニティー」を構築できるという、大きな可能性を示した。
 
今後は、「Comado」のコミュニティーを通じて、お客さまとさまざまなリアルのコミュニケーションを図っていく。サントリーホールでの音楽や演劇イベントへの招待、ワイナリー見学、「サントリーフラワーズ」のサービス提供など、サントリーグループの資産を総動員し、お客さまの「ウエルネス」を立体的に提案していく。
 
共感と熱狂が生まれるコミュニティーこそが、強豪と差別化する最強の武器となり、LTVを押し上げる源泉となる。


文化創造の理念に沿う


──「ビーサポ」の社会貢献の取り組みについて、考えを知りたい。
 
「企業としてのパーパス(存在意義)を実現するため」の取り組みだ。我々サントリーグループのパーパスは「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命の輝き』を目指す」ことだ。
 
「ビーサポ」の取り組みの目的は、高齢者施設の人たちに対して、豊かな生活文化を創造していくことにつながる。「ビーサポ」は、サプリの販売とは切り離している。
 
当社は、高齢者に関する社会課題に、利益を切り離して取り組んでいきたいと考えている。
 
この活動は、サントリーグループのものづくりにおける考えである「MBC(ものづくりからのブランド・文化構築)」と非常に関係がある。
 
「MBC」とは、ものづくりを単なる生産活動と捉えるのではなく、そこにあるストーリーや人を価値と捉え、企業活動やブランドに反映し、最終的に会社に「文化」として定着させる取り組みのことだ。
 
「ビーサポ」の取り組みにおいて、高齢者たちがスポーツ観戦などに熱中し、職員も一体となって盛り上げる様子は、まるで「地域のお祭り」のようだ。
 
ウイスキーの熟成過程から感動が生まれるように、人が熱狂する営みそのものから、素晴らしいストーリーが生まれる。好きなチームを応援する、という「熱狂の営み」を通じて、素晴らしいストーリーが生まれている。その「地域のお祭り」が全国のあちらこちらで行われ、ついには日本の一つの文化になる。
 
サントリーウエルネスは、そうしたうねりをサポートしていく。
 この背景には、サントリーのバリューにある利益三分主義があると考えている。

ーーAIの進化が著しい。この進化にどう対応するか。

AIは現状、「作業」と「過去の整理」は得意だ。この進化から遅れるわけにはいかない。

ただ、AIにすべてを任せれば、画一的でつまらない社会になるのは目に見えている。

我々はAIに「調べ物」や「データの整理」をさせ、人間は「付加価値の創出」に注力する。そして何より、AIが手に入れられない「一次情報」の価値がこれから爆発的に高まる。お客さまと真摯(しんし)に向き合い、生の声、心の奥底にあるニーズをつかみ取ること。これこそが、AI時代に企業が生き残るための、最も重要な「武器」となる。

 


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