─前期のECの増収要因は。
主にはこれまでの地道な努力。25年1月に家業の垂水産業と合併したことでカフェ経営の強みと「貴茶」の販売の強さが融合し、双方のファンが増えたことでECへの流入につながったと見ている。
─店舗はどのような経緯で生まれたのか。
17年に日本茶専門店「貴茶―TAKACHA―」の実店舗とECサイトを立ち上げた。茶小売業や茶業資材の設計施工を行う垂水産業で働いていたが、茶農家と直接触れ合い生の声を聞くうちに、茶業界の現状を変えたいと考えるようになり独立した。
─茶業界の現状にどんな問題点が見えたのか。
80年に父が会社を設立した当時の茶業界は好景気だったが、20年ほど前から徐々に急須で茶を入れる習慣がなくなりリーフ茶離れが進んだ。安価なペットボトルの茶が普及するようになり上質な茶の消費が減ったことと並行して茶業界は右肩下がりになった。この現状を変えるためには茶の売り方などを変えないといけないと考えた。柔軟に動くために一念発起して独立し、新たな日本茶ブランドを作っていこうと決めた。
─商品開発の強みは。
他店にはないオリジナルの味が強みだと考えている。自社で荒茶のブレンドの比率を決めて加工している。楽しい買い物になるように少しずつ商品数を増やし、オリジナルフレーバーティーの開発に力を入れている。女性顧客が多く、白桃煎茶とレモングラス煎茶が一番人気。女性に受けがいい商品開発を意識しており、普段からアンテナを張り、女性の意見をよく聞くようにしている。
─会社のコンセプトは。
コンセプトは「日本茶をデザインする」。それにはさまざまな意味が含まれており、パッケージデザインのほか、「昔ながらのお茶のイメージを取り払って新しいお茶のイメージを作っていく」「オリジナルのお茶」といった意味も込めている。
その延長で、自分でも買いたくなるけど人にもあげたくなる。そしてもらってうれしくなるような商品開発を強くイメージしている。そのためギフト商品なども味はもちろん外見にもこだわっている。ECでの購入客は試飲ができないため、「パケ買い」してもらえるように茶の堅苦しいイメージを崩したいと考えた。そこでポエムを入れるなど商品の一つ一つを遊び心のあるパッケージにしたことで好評を得ている。
─ECの流入施策は。
インスタグラムをはじめとするSNSでの宣伝、ショップカードにはSNSやECのQRコードを記載し、実店舗や催事販売などの際に配布している。
SNSでは商品紹介や期間限定のクーポン情報などを投稿しており、ECへの流入は多い。SNSのDMに商品へのコメントが届くこともある。
現在の売り上げはECの開設当時に比べて7~8倍に伸びている。
─ECサイトの特徴は。
渋みや甘みの強さ、茶の味や香り、色について特徴別や予算別に商品検索ができるようにしている。見やすさ、選びやすさを念頭に置いている。
─リピート施策は。
商品の注文が入ればできるだけ早く発送する体制を整えている。また、EC構築ツール「BASE」の機能を利用した新商品の通知では、例えば東京都で催事を開催するなら都内の顧客に絞って催事情報を発信する。こうして「1回の利用で終わらせない」ことでリピーターがかなり増えてきている実感がある。
─今後のECにおける目標は。
茶葉に限らず茶そばやオリジナルブランドのボトルなど、「貴茶」でしか買えない商品のバリエーションを増やすことでブランドのファンを増やしていきたい。抹茶にも力を入れて海外の顧客を増やしたい。
