通期で最多の可能性
2025年度上半期の苦情件数は前年同期の1.7倍となった。2025年度の通期の苦情件数は、2020年度の1万1560件を上回り、過去最多となる可能性があるという。
▲上・下半期別苦情件数
▲「苦情」の業種別件数
▲上位4業種の苦情件数推移(半期)

▲「苦情」の媒体別件数
▲上位2媒体の苦情推移(半期)
「気持ち悪い・汚い表現」「性的」「猟奇的・ホラー的」な表現など、広告表現に対する苦情が増加したとしている。特に性的な広告への苦情が多く、全体の19.1%に当たる1355件が寄せられたという。
▲苦情内容別件数
▲内容別苦情件数推移(半期)
▲苦情申立者の内訳
2025年6月には、性的なネット広告のゾーニングを求めるグループから、JAROに対し、対策強化の要望書が提出されたそうだ。JAROは回答を行い、倫理観・モラルを考慮した広告制作の重要性を浸透させていくための周知・普及活動を引き続き行っていく方針を伝えたという。
背景に「性的広告」など
全体の苦情が急増した背景には、2025年6月に、性的な広告に関する報道などがあり、生活者からJAROが、「広告への声を届ける手段」として認識されたことがあったという。
さらにJAROは、「行政による広告への執行強化も一因と考えられる」としている。近年、法令に抵触はしなくても”著しい不快感”で人目を引くようなネット上の広告が増えているのだという。
上半期は、「オプトアウトできない」「類似の広告が繰り返し表示される」など、「手法」に関する不快感も増えたとしている。「消費者側においても、広告を見てスルーするのではなく、JAROに苦情を伝えようとする人が増えたと考えている」(JARO)としている。
周知活動を強化
JAROは2025年6月から、テレビ・ラジオCMでの周知活動も開始したそうだ。
JAROによると、「ネット上の広告や不快な広告の苦情もJAROで受け付けているというメッセージにした。以前から受け付けていたが、今回あらためてこのメッセージで広告を行った」としている。このようなCMなどでの周知活動は、今後も継続していくという。
一部の広告主に苦情集中
2025年度上半期は、苦情が集中する広告・広告主が目立ち、上位5社への苦情合計が1263件と、全体の18.8%を占めたとしている。最も多くの苦情が寄せられたのは、医薬部外品などをECで扱う事業者で、苦情件数は479件に上ったという。
通販苦情は82%増
「通信販売」の苦情件数は、前年同期比82.1%増と急伸した。
JAROは寄せられた広告苦情について委員会で審議し、その結果を 4段階の「見解」として伝えている。(1)助言(2)要望(3)警告(4)厳重警告-のいずれかだという。「警告」は、「当該広告または表示の速やかな削除または修正を求めることが必要と認められる」というもので、最も重い「厳重警告」は、「警告相当の広告または表示であって、問題箇所の数、消費者に誤認を与える程度等により、その不当性が特に高いと認められる」ものだという。

▲苦情対応状況

▲見解の内訳
通販ECに厳重警告
同期の「厳重警告」は3件で、そのうち2件は通販・EC関連の商品だった。1件は機能性表示食品で、自社通販サイトやアフィリエイトサイトで販売し、「インスリン近似成分、内科でも販売している」などと表示していた。もう1件は、健康食品のテレビ通販の広告で、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を挙げ、当該商品を摂取すれば「長年病気を患わない」かのように表示を行っていたという。
「警告」は6件で、半分に当たるが通販・EC関連だったという。SNS上の動画広告や、テレビの通販広告が対象となった。
事業者が留意すべき点としてJAROは、「今期寄せられた苦情には広告表現や広告の出し方が『不快』『うっとうしい』といったものが急増した。広告に注目させようとして、消費者の不快感を高めているように思われる。こうした広告はブランドや広告の信頼を損なうことにつながりかねない。法令順守はもとより、表現や手法もチェック項目に入れていただきたい」と語っていた。
