リフォーム訪販のMED Communications(メッドコミュニケーションズ、本社東京都)では2026年1月、江中健一代表取締役副社長COO兼CMO兼CHROが、佐々木洋寧会長(前社長)から舵取りを引き継いだ。新社長として見据えているのは会社の「規模の拡大」ではないという。社員とその家族の幸せを最優先に捉えることを理念に掲げている。独自の組織論である「生命論パラダイム」から、経営者に求められる「エゴマネジメント」まで、江中新社長の熱い経営哲学について聞いた。
──改めてMED Communicationsの強みは何だと考えるか?
わが社の営業の最大の特徴は「自己開示・会社開示」を武器にしている点だ。
単なる自己紹介ではない。自分の人生の物語(ストーリー)を語ることで、お客さまに共感してもらい、一人の人間として信頼され、好きになってもらう。
ブランドとは物語そのものだ。お客さまに「あなたが言うなら信じて買うよ」と言っていただけるまで、人間関係を深く構築する。このプロセスを徹底しているからこそ、ヒアリングの精度が他社とは劇的に違う。
入社後2カ月間の研修のうち、1週間以上をかけて私が直接、営業の真髄を教え込む。
わが社の新卒社員なら、世界中の何を売っても成功するだろう。それほどまでに、「信じてもらう技術」ではなく「信じられる人間性」を磨き上げている。
「エゴマネジメント」
──社長就任にあたって、改めて決意を教えてほしい。
副社長時代から、私の信念は一切ブレていない。
私の人生をかけた役割は「社員とその家族が日本で一番幸せを感じられる会社」を作ることだ。
企業は永続しなければ意味がない。目先の流行や小手先のテクニックに振り回されない。
社長になってから、「謙虚にしておごらず、誰よりも努力する」という姿勢がさらに強くなった。
私はかつて数多くの経営教育に携わり、倒産企業も見てきた。倒産する理由は一つだ。社長が傲慢になり、感謝を忘れ、社員をコントロールしようとすることだ。
経営者に必要なのは、経営学やマーケティングの知識ではない。それは勉強すれば誰にで身に付く。
最も重要なのは「エゴマネジメント」だ。
人間である以上、必ず「もっと欲しい」「支配したい」というエゴが生まれる。
このエゴをいかに制御し、社員から搾取せず、彼らが誇れる環境を作れるか。ここさえブレなければ、経営は決して難しくない。
組織を「生命体」として捉える
──2027年度の新卒社員は180人規模だと聞いた。組織が急拡大する中で、一人一人の成長をどう担保するのか。
多くの経営者が陥るのが「機械論パラダイム」だ。組織を一つの機械と捉え、人をパーツと見て管理しようとする。
私は「生命論パラダイム」を提唱している。組織とは一つの生態系(エコシステム)なのだ。
例えば、気の合う友人グループでは、誰が指示を出すわけでもなく自然と役割が決まり、秩序が生まれる。
これを「自己組織化」という。管理者が無理に操作しようとすると、この生態系は壊れてしまう。われわれの仕事は、新しいエネルギー(新卒)を投入し、彼らが相互に刺激し合う「創発」を見守り、形が見えてきたところで整えてあげることだ。
今後、事務作業などのルーティンはDXで徹底的に合理化する。ただ、人に対してだけは徹底して「非効率」でありたい。
心ある生き物を効率的に動かそうなどというのは、傲慢な考えだ。人は太陽と肥沃な土壌、適度な雨があれば勝手に伸びていく。われわれ大人が彼らの成長を邪魔してはいけない。
「同根異才」
──新卒採用の基準は?
採用基準は「同根異才(どうこんいさい)」、これに尽きる。価値観さえ同じであれば、咲かせる花の色は違っていい。私は年間100回近く企業説明会に登壇し、会社の価値観を3時間半かけて話し続ける。
そこに魂が震えて共感した人だけを採用している。
能力の有無ではなく、利他の心があるか、感謝の心を持てるか。そこさえ合致していれば、組織は崩壊しない。
今の若い世代は、われわれの世代よりも遥かに優秀で、純粋に「誰かの役に立ちたい」と考えている。
