mitaseru JAPAN(本社東京都、松本大輝代表)が運営する取り寄せグルメサービス「mitaseru(ミタセル)」の、2025年12月期の売上高は、前期比300%超で成長したという。「自宅で美味しいものを楽しみたい」「毎日の食事選びをプロに任せたい」などの需要を掘り起こし、コロナが終わっても順調に業績を伸ばしている。取締役の佐々木悠氏に、ビジネスモデルと独自の強みを聞いた。
──ビジネスモデルは?
飲食店からレシピの提供を受け、当社が製造から配送までを一貫して担う。売り上げの一部は「のれん代」として飲食店に還元する仕組みだ。
製造に当たっては自社調理場を保有し、食材調達から人材確保までを当社が行う。
最大の強みは、単なる「監修」に留まらない再現性の高さにある。材料や調味料は可能な限り店舗と同じものを使用し、店の味を忠実に再現することにこだわっている。
一方で、冷凍食品は消費者が自宅で加熱して完成させるものだ。その最終工程を逆算し、「自宅で食べた時に最も美味しい状態」になるよう、商品設計を最適化している。
──高い成長率の要因をどう分析しているか?
2025年12月期の売上高は前期比300%超で伸長し、会員数も順調に推移している。
やはり「プレミアム冷凍グルメ」の市場そのものが、大きく成長していると感じる。会員数だけでなく、顧客単価も上がってきている。
「mitaseru」においては、もともと30~40代をメインターゲットに置き、共働きによる需要などを想定していたが、意外にも50~60代からの人気が高い。コロナ禍が終わっても、比較的高い年代の「自宅でゆっくり美味しいものを味わいたい」というニーズにマッチしている。
個別の店選びだけでなく「mitaseru」というプラットフォーム自体への信頼、いわば「ブランド買い」を楽しんでもらえている手応えもある。自社で製造・発送・在庫管理を一括して行うため、人気商品の欠品を防ぐなど、柔軟な需給調整が可能な点も、機会損失の防止につながっていると思う。
──顧客やリピート獲得のための施策は?
当初は三井不動産グループの基盤を生かし、マンション入居者へのチラシ投函なども行ったが、現在はデジタル広告からの流入が主軸だ。
「食で季節を味わいたい」という需要に応えるべく、新商品の投入サイクルには注力している。
ほぼ毎月、通算40回以上購入しているヘビーユーザーも存在する。25年秋からは定期便「名店ごちそう便」を開始した。
好きな商品を選べる「えらべる定期便」と、お薦め商品が届く「おまかせ定期便」の2種類を用意したが、圧倒的に人気なのは「おまかせ定期便」だ。シニア世代には「選ぶ手間を省き、プロに任せたい」という側面があるようだ。
──飲食業界における意義やポジショニングは?
日本は世界的に見ても、食の名店が非常に多い。
このサービスを通じて、地方の人が都心の名店を知る、あるいは都心の人が地方の味に触れ、実際に現地へ足を運ぶきっかけにもなっている。
人手不足が深刻化する飲食業界において、飲食店が自前で店舗運営と冷凍宅配事業を並行するのは容易ではない。われわれが製造・物流をサポートすることで、飲食店が店舗運営に集中できる環境を整え、業界全体の底上げに貢献したいと考えている。
今は売り上げの数字以上に、まずはこのサービスをより多くの方に知ってもらうことを最優先に取り組んでいきたい。
