5月13日に開催した決算説明会で渡邉会長は、2024年3月期の業績について、「食数は若干減少したものの、値上げを実施したことで収益率は大きく改善した。冷凍通販事業についても手応えがあった」と話した。配送員「まごころスタッフ」は前期比531人減の6705人、累計調理済み食数は前期比116万8000食減の6120万食だった。
シニア施設向けの商品「かんたん厨房」の本格的な販売を開始した。調理師不足で施設内での調理が困難という課題解決を目的に、湯せんで調理するだけの商品を強化している。渡邉会長は「立ち上げの段階だが強い自信を持っている。宅食事業の2本目の柱にしていきたい」と話した。2024年秋には糖尿病や高血圧など生活習慣病にターゲットを絞った製品の発表を予定していることを明らかにした。
冷凍総菜事業として展開する、通販事業「ワタミの宅食ダイレクト」やカタログ冊子「まごころ商店」に掲載する冷凍弁当や総菜を強化する。2024年3月期における冷凍総菜の通販事業「宅食ダイレクト」の売上高は15億3000万円、営業損失は9000万円だった。2025年3月期は同51%増の23億10000万円、営業利益は2億円の黒字化を目指す。
2023年9月に、兵庫県尼崎市に冷凍弁当工場を新設した。月間20万食を製造し、自社工場比率が8割を超えたという。年内にも、第2工場を開設することを明らかにした。肱岡彰彦常務執行役員・宅食事業本部長は「これまで外注で行ってきたものを内製化に切り替えている。全て自社での製造がまかなえる体制を目指す」と話した。
通販事業「宅食ダイレクト」については、カートシステムの入れ替えを実施するほか、ECの販路拡大を進める。新たな物流体制の構築を目指し、新規WMSを導入することで自社主導の物流の構築を目指す。
ヤマト配送員の採用難航
ワタミが2023年11月に発表した、ヤマト運輸の小型荷物の配達を個人事業主の採用については現在までに200人の応募があるものの、採用は20人に留まっていることが分かった。
当初は、最低でも1000人、最大2000人の受け入れを計画し、ヤマト運輸が提供している求人サイトへの掲載を始めていた。渡邉会長は本紙の取材に対し「当社の条件とのマッチングが難しい。一人一人と面接して採用を進めている段階だ」と話した。