完全栄養食ブランド「BASE FOOD(ベースフード)」を運営するベースフードの成長が続いている。2024年2月期の国内EC売上高は、前期比35.7%増の101億4000万円だった。自社EC売上高は上半期における定期注文者数の増加により、売上高が拡大した。太田里沙マーケティング/営業統括マネージャーに前期の振り返りと、自主回収問題、今期の施策の詳細などについて聞いた。
──前期も変わらず好調だった。
堅実に全てのチャネルで成長することができた。当社はECだけではなく、卸も実施している。小売店の取引先数が増えると、消費者の裾野も広がる。小売店で当社の商品を購入して、味に納得して、「他にどのような商品があるのかな」とECサイトを訪れる。
一方、ECサイトで購入して、「こんなに食べきれない」と思った人や、「今日のランチ用に出勤前に買っておこう」と思って、小売店で購入する。オンラインとオフラインを行き来する「OMO」のような仕組みを構築できたと思っている。
20224年2月期の売上高は前期比50.9%増の148億7000万円だった。2024年2月期の卸売上高も同93.9%増の45億9000万円にまで拡大した。
──前期は自主回収問題も発生した。その後の影響はどうだったか。
2023年10月に、委託先の製造工場で製造された一部製品にカビが発生してしまった。商品に不備が発生した後、2023年9‐11月期(第3四半期)の自社EC、他社EC売上高は減少傾向にあったが、現在は復調している。
復調できた要因としては、主に (1)品質強化に向けた早急な対応 (2)顧客への誠意ある説明 (3)食の安心・安全への取り組みをページとして掲載したこと─などが良かったと思っている。
定期購入していただいている顧客には、「メール」「LINE」「同梱紙」などで説明した。当社の公式ホームページには、食の安全性に関する取り組みを掲載している。
──現在、売上高は復調し、結果として前期を大きく上回る売上高を達成できた。要因について伺いたい。
個人的には今まできちんと近い距離で顧客と関係性を構築できていたからではないかと感じている。
当社は「BASE FOOD Labo(ベースフードラボ)」という顧客との共創の場であるコミュニティーがある。「BASE FOOD Labo」は「BASE FOOD」継続コース会員向けのオンラインコミュニティーだ。そこでは会員が商品を使ったアレンジレシピや、新商品のアイデア投稿など、活発な意見交換が行われている。
そこで投稿された声に関しては、一つ一つ確認し、新商品の開発や改善に生かしている。今回の自主回収問題は”企業の危機”だったが、既存顧客からは「がんばってね」と応援の声もいただいた。過去の当社の顧客との向き合い方が、既存顧客に理解され、問題が起きても離れることなく、応援してもらえたのだろう。
チャネル拡充に注力
──今後の展望は。
今後は新商品を多く販売し、さらにチャネルの拡充も行っていきたい。2023年12月‐2024年2月期(第4四半期)において、取り扱い店舗数は5万1091店にまで拡大した。
コンビニへの配荷率は82.7%となっており、コンビニへの配荷は一定規模にまでは完了している。今後はドラッグストアやスーパーマーケットなどへの展開に注力していく。消費者と触れ合う接点を増やすことで、自然とEC、卸の売り上げ拡大につなげていきたいと思っている。