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2025.03.20

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【食品通販・食品宅配 インタビュー】 <シニア系弁当通販> ヘルシーネットワーク 黒田賢代表取締役、「医療施設との連携で利用者拡大」


治療食のヘルシーネットワーク(本社東京都、黒田賢社長)は、医療施設との連携を強化している。2024年には腎機能の低下に対するタンパク質摂取の変化に合わせて商品を改良した。栄養指導の際に利用できる商品カタログを配布して、指導員から利用者の紹介を受ける。医療施設との連携が収益につながっている。事業状況や計画などについて黒田賢代表に聞いた。



 

──新規顧客の獲得方法は。

当社は病院食の製造・販売をしており、在宅で食事療法を行う人を対象とする治療食をメインに展開している。

栄養指導の際に、退院後のフードモデルを理解してもらう取り組みを進めている。当社の弁当を通して適切な食事量や塩分摂取量を分かってもらい、普段の食事の参考にしてもらえるのが理想的。問い合わせのあった患者の食生活をサポートしている。

糖尿病も腎臓病も良くはならないので、「卒業」という考えはない。特定の企業の食事を食べ続けることは難しいと思うので、複数の企業のうちの一つに入れればいい。

──商品開発の工夫は。

2024年に「タンパク調整食」に改良を加えた。腎機能が下がっている人はタンパク質を控えることが普通だったが、高齢者の場合は塩分やカロリーを調整するよりも、しっかり食べなければフレイル、低栄養から起きる筋肉量の低下が危険視されている。腎機能は年齢とともに低下して、80歳にもなれば低下していて当然。腎臓を保全するよりもフレイル対策でタンパク質を摂取する考えが広まってきた。その流れを受けて、タンパク質を強化した商品を開発した。

病院食は、病状に合わせて細かく分かれている。えん下障害がある人や、そしゃく力が衰えている人には「ソフト食」「ミキサー食」などを提供する。心疾患のある人は塩分を抑えた食事が要る。それらの病気に対する対応を理解して弁当を製造できることは、他の配食事業者と異なる点と言える。対応する病気が増えるほど商品カテゴリーは細かくなり、マーケットとしてもニッチになっていく。弁当事業によくある大量生産をして費用を抑えて多く売る、というスタイルとは合わないのではないかと思う。

食事を供給するからには健康的な生活に寄与すべきと考える。ただ、現実的には栄養価が高くて病気に対応するような食事を製造するには大きなコストがかかる。高齢者はお金がないとよく言われ、価格とのバランスを調整している。

和食や粗食が高齢者に好まれるというわけではなく、当社では魚料理より肉料理のほうが人気だ。最近は「フレイル予防」といった言葉でタンパク質の摂取に関心が高まってきていることも影響していると思う。しっかり食べることが最重要項目になっている。

──2025年の取り組みや計画は。

2024年9月に医療用食品を取り扱う渡辺商事(本社神奈川県)のM&Aを行い、卸事業を強化して医療施設との連携を高めた。プログラマーが複数人在籍している。自社で使用するシステムは自社で開発している。

「塩分調整食」「タンパク調整食」などの3種類のカタログを決まった医療施設に配布している。配布部数に大きな変動はない。

大きい課題を細かくして一つ一つ解消している。

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